自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の周りにある透明の箱が、徐々に色づき、自分を覆うように形をなしていったのが感じられた。ここ数年、ずっと存在を感じていたものはこれだったのかと。そんなことを教えてくれる本に出会ったのだ。この本にはもっと早く出会いたかった。それでもこの本に出会えてよかったと思う。

自分の小さな「箱」から脱出する方法
自分の小さな「箱」から脱出する方法
作者: アービンジャー インスティチュート
出版社/メーカー: 大和書房
発売日: 2006-10-19
売上順位: 599
概要: 書き込み、折れ等は一切なし。 本の帯は付いていません。

最近、電車に乗らない生活をしているとあまりにも本を読まなくなった気がしていた。そんな時は、わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるを眺めてみることにしている。イベントにも何度か参加したが、そのたびに読みたい本がどんどん増えていく。

そんななか、箱: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいるの書評に読んだ。コレは中々面白そう。自己啓発本は振り回されがちがなので、なるべく距離をおいてるのだが、買って読んでみた。

夢中で読んだ。結局続編に当たるものも続けて読んだ。

2日で人生が変わる「箱」の法則
2日で人生が変わる「箱」の法則
作者: アービンジャー・インスティチュート
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2007-09-06
売上順位: 13455

まるで、自分のことが書いてあるようだった。自分でも問題だと思っていた。でもこれは性格なのだからしょうがないかも、なんとかする方法はないのかも、と思いかけていた。しかし、この本を読んだことで希望が見えた。みんなそうだったのか、みんな自分と同じだったのか。そう気づいた。気付かされた。

自分が、この本で言う『箱』に入ったのは、多分5、6年ほど前のことだろう。会社が傾き、出向から帰ってきたら、今まで全てを取り仕切っていた上司が会社をやめ、プロジェクトを任されるようになっていた。気心がしれたチームでやる仕事は特に問題もなく、新しい試みを試しながらすすめられた。

しかし以前の形を変えたくない人たちとの仕事は苦痛を伴った。昔のままで会社の業績が悪化したのだから変化をしないといけない。それが分かっていてもやり方を変えない人たち。そういう人たちを変えたいという思いが空回りしてぶつかり合う。

結局、気心がしれたチームのメンバーが独立した時点で心が折れ、会社を辞めた。 今度会う人々ともそうなるのではないかという恐怖のもとに生きている気がしていた。

この本で、自分の状態を明らかにしてくれた。これが気づきというやつなのか。端から見たら相当胡散臭いことを言っている自覚はある。それでもそう言わざる負えないスゴ本だ。 これを直接人に薦められていたらどうだったろうか、これを面白そうだと思わせてくれて、手にとらせてくれたDainさんに感謝したい。

それと、これを読んだあと、他の小説などを読むと、人の心の機微が少し違って見えるようになった。たとえば、レイモンド・カーヴァー傑作選に含まれる、『ささやかだけれど、役に立つこと』を改めて読んだ。

これは、恩師が大学を退官するときに、最後の講演話していた中にあったもので、話を聞いた後に読んだのだった。その時は、切ない話でとてもうまい文章だなぁという印象だったが、今だと、色々なつながりが見えてき、おそらく先生が言いたかったことなどが浮かび上がってきた。

これは何度も読む必要がある本だろう。実際にこういう考えで物事を見れるかどうかには訓練が必要な気がする。

参考

自分の小さな「箱」から脱出する方法
自分の小さな「箱」から脱出する方法
作者: アービンジャー インスティチュート
出版社/メーカー: 大和書房
発売日: 2006-10-19
売上順位: 599
概要: 書き込み、折れ等は一切なし。 本の帯は付いていません。
2日で人生が変わる「箱」の法則
2日で人生が変わる「箱」の法則
作者: アービンジャー・インスティチュート
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2007-09-06
売上順位: 13455